検査済証がない建物でも表題登記はできる?
皆様こんにちは!福岡県宗像市の土地家屋調査士 里です。
「検査済証を取っていないけど、建物の登記はできますか?」
このご質問は非常に多くいただきます。
結論から申し上げますと、
確認済証があり、現況と内容が一致していれば、検査済証がなくても建物表題登記は問題なく申請できます。
ただし、建築基準法上の問題と登記上の問題は別の話です。この点をきちんと理解した上で手続きを進めることが重要です。順を追って解説します。
そもそも確認済証と検査済証の違いは?
まず2つの書類の違いを整理します。
確認済証(かくにんずみしょう)
建築工事を始める前に、建築基準法に適合した設計であることを特定行政庁(市役所・県)または指定確認検査機関が確認し、発行する書類です。「この設計で工事を始めていい」という確認証です。
検査済証(けんさずみしょう)
工事完了後に、実際に建てた建物が確認済証の内容通りに施工されているかを検査し、合格した場合に発行される書類です。「設計通りに正しく建てられた」という証明書です。
つまり確認済証は「工事前」、検査済証は「工事後」に発行されるものです。

検査済証がない建物は建築基準法上どういう状態か
検査済証を取得していない建物は、建築基準法上は完了検査を受けていない手続き違反の状態です。
建築基準法第7条では、建築工事が完了した場合、4日以内に特定行政庁または指定確認検査機関に完了検査を申請しなければならないと定めています。検査済証はその検査に合格した証明であるため、取得していない場合は手続きが完了していない状態になります。
ただし現実には、検査済証を取得していない建物は全国に多数存在します。特に昭和・平成初期に建てられた建物では、完了検査を受けないまま使用開始するケースが珍しくありませんでした。国土交通省の調査でも、一定期間における完了検査の実施率が低かったことが記録されています。
ただし、現在は検査済証の取得率はほぼ100%となっているため、新築の場合で取得していないケースは比較的レアケースであることが多いです。
では登記はどうなのか
ここが重要なポイントです。
建築基準法と不動産登記法は全く別の法律です。
建築基準法は国土交通省所管の法律。不動産登記法は法務省所管の法律です。
建物表題登記は不動産登記法に基づく手続きであり、建築基準法上の手続きが完了しているかどうかは、登記の可否に直接影響しません。
不動産登記法が求めているのは「その建物が実際に存在し、誰のものかを明確にすること」です。建物が適法に建てられたかどうかの証明は、登記の要件には含まれていません。
不動産登記には建物の実態を表示し、権利の客体を特定できるようにして、取引の円滑化を図るという建築基準法とは別の目的があるからです。
検査済証がない場合の必要書類
検査済証がない場合でも、以下の書類を揃えることで表題登記を申請できます。
所有権証明書類として原則2種類必要です。(場合により2種類以上必要となることもあります。)
1種類目:確認済証
確認済証が手元にあれば、これが1種類目になります。検査済証がなくても確認済証単体で1種類としてカウントされます。
2種類目:以下のいずれか
- 工事完了引渡証明書+施工業者の印鑑証明書・資格証明書(最も一般的)
- 工事請負契約書
- 固定資産税課税証明書+納税証明書
- その他所有権を証明できる書類(ここはケースバイケースで判断されます)
実務上は確認済証+工事完了引渡証明書(施工業者の印鑑証明書・資格証明書付き)の組み合わせが最もポピュラーかと思います。
その他の必要書類
- 申請人の住民票
- 建物図面・各階平面図(土地家屋調査士が現地調査後に作成)
※他にもここに記載の無い書類が必要となることもあります
特に注意が必要なケース
検査済証がない場合でも登記は可能ですが、以下の点には注意が必要です。
確認済証の内容と現況が一致していること
確認済証に記載されている床面積・構造・用途と、実際に建てられた建物の現況が一致していることが原則です。工事の途中で設計変更をした場合や、増築・改築を繰り返している場合は、確認済証の内容と現況が異なる可能性があります。この場合は変更の事実を証明できる追加書類が必要になります。
各書類の名義人が申請者と一致していること
確認済証・工事完了引渡証明書などの名義人が、登記を申請する所有者と一致していることが原則です。相続などで名義が変わっている場合は、その経緯を説明する書類が別途必要になることがあります。
建築基準法上のリスクは別途存在する
登記は問題なく申請できますが、検査済証がない状態は建築基準法上の問題が解消されるわけではありません。将来的に建物を増改築する際や、住宅ローンの審査によっては検査済証の提出を求められることがあります。登記とは別の問題として認識しておくことが重要です。
検査済証は建物完成直後でなければ取得することはできないため、完成してしばらく経ってから取得したいと思っても検査の申請ができません。
また、紛失した場合についても再発行は行っていないことから、大切に保管しておくことが何より大切です。(確認済証も同様です)
まとめ
| 建築基準法上 | 登記上 | |
|---|---|---|
| 確認済証あり・検査済証なし | 手続き違反の状態 | 登記申請は可能 |
| 必要な対応 | 完了検査を忘れずに受検 (現実的には困難なケースも多い) | 確認済証+その他所有権を証明する書類で申請 |
検査済証がないことで「登記できないのでは」と諦めている方は多いですが、確認済証があり現況と一致していれば他の書類と組み合わせて登記は問題なく進められます。
「自分のケースはどうなるか」が気になる方は、まずお気軽にご相談ください。
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